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小説は事実より奇なり!

  • 14 分前
  • 読了時間: 5分


 なに当然のこと言うてんねん。「日本沈没」とかいう小説じゃ、日本は40年も前に沈没してんで。日本列島まだピンピンしてるがな!それを言うなら、事実は小説よりも奇なりじゃ!

 

 当然の感想でしょう。

 

 弁護士が主役だったりするテレビ番組や映画、小説なんかが話題になると、「先生、あれ観てますか」とか尋ねられることがあります。まず観ません。興味はあるのですが、しょせんは作りもの。法廷ものではリアルであるよりも劇的に盛り上げることを優先します。現実の法廷は無味乾燥で、たんたんと進むのが通常です。

 観客にわかりやすくするために、尋問する前に裁判官に狙いを説明する弁護士なんてのも観たことがあります。証人もその場にいるのですから、尋問の意図をさとりとっさに偽証しようなんて思ったりすることもあるでしょう。それに裁判官が尋問の前にその目的を確認するなんてこともしません。そんな頭の悪い裁判官はいません。

 そんなところが見えてくるので、なかなか楽しめません。

 

 法廷ものはそんなふうにリアルでなかったり、嘘が混じったりするものだと思って観ている方がいいでしょう。

 

 先日、読んだ弁護士もので、離婚調停に子を同席させるなんて場面がありました。まずは母と子が調停室に入り、子を残して母がでてゆき、父が入ってくる。こんどは父と子が調停委員と話をするというようなものでした。

 ちょっとボーゼン・・・いや、だいぶボーゼン

 離婚調停は夫婦だけが出頭します。子が出頭することはありませんし、ましてや子が調停に同席するなんてことは私は経験したことがありません。友人の弁護士からも聞いたことはありません。

 離婚調停はほとんどの場合、ののしり合いになります。互いに有利な条件で離婚しようとするので、口を極めて相手の失敗や欠点を針小棒大に言いつのるなんてことはごく普通にあります。

 こんな場に子どもを同席させたらどうなると思いますか?まず母が父親のことを非難するのを聞かされます。その後は、父が母親のことを非難することを聞かされます。子どもの気持ちは想像できますよね。

 もちろん、父親が子どもが見ている前で母親に何度も暴力を振るっていたり、ひどいモラハラをことあるごとにしていたり、子どもにも暴力を振るっていたりすると、子どもの心は父親から離れているでしょう、

 でも、欠点だらけの父であっても、欠点だらけの母であっても、子には大切な両親です。育児を母親に任せっきりという父親であっても、遊んでくれるときには優しくしてくれ、楽しい時間を過ごしていたというようなときには、やはり父親に対する愛着は生まれているでしょう。そんな父親を母親が厳しく攻撃する場面を見せられるなんてことはひどく残酷なことではありませんか。ましてや、母親が勢いにまかせて、暴力を振るわれたときのことについて「そうだったわよね。」なんて確認を求めたりすると、子どもはひどい葛藤に襲われることになるんじゃないでしょうか。

 母親は生まれたときから基本的な欲求を満たしてくれました。いつも優しくしてくれました。そんな愛する母親のことを父親が厳しく非難する場面に立ち会うことになった場合、子どもがどんな気持ちになるでしょうか。

 正直申し上げて、子どもを同席させるどんな必要があるのか私にはわかりません。ましてや、子どもにこんな気持ちを味わわせるなんてことにどんなメリットがあるのか理解できません。

 もちろん、面交交流、法改正があり今では親子交流なんて言いますが、親子交流に関して調査官の調査が入り、子どもが裁判所に出頭することはあります。でも、それは調停の期日ではありません。たいがいは母親が育てているので、母親が裁判所に連れて行きます。その日に父親も出頭したなんてことは経験したことがありません。

 調査官は子どもの心理を十分に尊重しながら、なごやかに慎重に進めてゆきます。子どもは両親が離婚するかもしれないと感じるだけで傷ついています。自分のために両親が離婚するんだとか誤解していることもあります。裁判官にしろ、調停委員にしろ、調査官にしろ、そんな子どものデリケートな心情を思いやり、できるだけ子どもにストレスを与えないようにとしてくれます。

 調停に子どもを同席させるなど、よほど特殊な事情がない限りないでしょう。

 

 その小説では退職金は退職しない限り財産分与の対象にならないという前提でストーリーが進んでいました。

 でも、私が処理した事件で退職金の支払いが期待できる案件では、すべて退職金も財産分与されていました。これもありえない話です。

 この小説では翌年あたりに夫が退職するという設定で、退職金が分与されないことが見込めるのに、妻が調停を急ぐという設定があり、それがミステリーになっていました。

 しかし、退職前でも退職金が分与されることを前提とすると、ミステリーじゃなくなってしまいます。小説を面白くするための設定なのでしょうが、これを読んでる皆様は真に受けないでください。

 退職金は財産分与されます。

 

 ね、小説は事実より奇なりでしょ・・・

 

 こんなふうに、フィクションの世界では、現実にはありえない設定がされていることがあります。映画だのテレビ番組だの、小説だのを楽しむのはよいのですが、いざ自分が法的な紛争に巻き込まれた場合には、きちんと弁護士に相談して、正確な知識を前提として、幸福を勝ち取ってください。誤った知識を前提とすると、幸福じゃなくて、降伏を勝ち取ることになってしまいます。

 すみません。いつもつまんないダジャレで。






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