原因別
CAUSE
原因別の離婚
離婚は法律的には「婚姻関係」が「破綻」した場合に認められます。平たく言えば、お互いの信頼関係がくずれてしまって、これ以上、夫婦でいることができなくなっている状態です。くずれる原因となる事実が離婚原因です。
「破綻」と言うのは一つの法律的な判断ですが、離婚原因はその破綻の原因となる具体的な事実です。その原因を作った方は慰謝料を支払うことになることもあります。主な原因を作った方は有責配偶者とか呼ばれますが、そうなると訴訟で離婚を認めてもらえなくなったりもします。
モラハラ
「モラル・ハラスメント」を縮めて、モラハラって言いますよね。DVは家庭内暴力ですが、モラハラは暴力に至らない嫌がらせです。ただ、言葉の暴力も暴力の内なので、言葉による場合、その範囲は微妙です。
DVにならないモラハラもその程度や回数、期間やその言葉の内容によって、信頼を失う原因になりますよね。
DV
「家庭内暴力」であることは言うまでもありませんね。言葉の暴力も暴力の内です。
夫婦間では暴行罪は成立しないなんて言っていた乱暴者もいましたが、妻に対する暴力は立派な暴行です。夫への暴力も立派な暴行です。
軽い暴力でも回数が重なれば、信頼関係を失う原因になります。縫ったりするようなケガを負わしたり、骨を折ったりすれば、それだけで信頼関係がなくなるのは当然ですよね。
不貞・不倫
離婚原因です。「1回だけなんだ。」と言われたって、それで離婚になった夫婦はたくさんいます。ただ、証拠が十分でない場合もあります。スマホにロックをかけるようになったとか、およそ行きそうもないしゃれた喫茶店のレシートが出てきたとかの事情だけでは、不倫を証明するには十分ではありません。たぶん、奥様方のカンは当たっているのでしょうけど。
確実な証拠を握ったら、鬼の首を取りましょう。
借金・ギャンブル
借金漬けでギャンブル狂いでも生活費を十分に渡してくれれば、問題じゃないかもしれません。でも、そんな人はまずいません。生活費を渡してくれなくて、自分と子どもがひもじい思いをすれば、信頼関係はくずれます。ギャンブルに負けて帰ってきて、家族にモラハラを繰り返す場合も同じです。
性格の不一致
どっちが悪いというわけでもないけど、相性が悪くて、一緒に暮らしているとひどいストレスを感じるという場合があります。自分の望んでいることをはっきり言えばいいのに、それは言わないで相手に忖度することを求め、相手方の言動が自分の思ったとおりにならないと、不機嫌になるというようなことを長年にわたって繰り返されるとほとほとくたびれてしまいます。不機嫌になって何日も口をきかないとかいったというようなことであれば、モラハラにあたるでしょうが、そこまではいかないといった場合です。
性格の不一致で信頼関係がなくなった場合、離婚理由にはなります。ただ、別居したとしても5年ぐらいは別居しないと、裁判ではなかなか離婚できません。離婚できたとしても、性格の不一致では、慰謝料は請求できません。
悪意の遺棄
法律には悪意の遺棄があったら、離婚できると書いてあります。夫婦は同居して協力しなければなりませんけど、たとえば勝手に出て行って別居するといった場合です。
ただ、別居に正当な理由がある場合は別です。長年のモラハラに耐えかねて家を出るような場合です。
夫が勝手に出て行って、生活費も入れないと悪意の遺棄があると認められやすくなります。出て行くことに理由があって、生活費はそれなりに支払っていると、認められにくくなります。
離婚とお金について
シングルマザーになるあなた、先立つものがないとお子さまと生活してゆけません。離婚したとして、いくらぐらいもらえるのかがわからないと、離婚すべきかどうかという判断もできません。お子さまがいなくても同じです。奥様から離婚を迫られているあなた、いくらぐらい払わなきゃいけないのかは、大事なことです。まずは、どういう名目のお金をやり取りするのかを説明します。
婚姻費用
生活費のことです。夫に請求する場合、妻の生活費と子どもの生活費です。生活費と言っても子どもの教育費用も含まれます。離婚するまで支払われます。離婚した後は子どもがいれば、養育費ということになります。
養育費
子どもの生活費のことです。言うまでもありませんでしたね。養育費も婚姻費用も、金額は合意できればその金額になります。合意できなければ、裁判所でということになります。裁判所ではいわゆる算定表での金額を基礎として決められます。算定表はネットですぐにヒットします。
慰謝料
あなたの心の傷を埋め合わせるためのお金です。不倫されたり、DVされたり、モラハラされたりしてひどく傷ついたときに、相手方に慰謝料を支払う義務が生じます。
芸能人が離婚する場合に「慰謝料数千万円」とか報道される場合がありますが、あれは慰謝料だけでなく、財産分与との合計金額です。慰謝料だけであれば、せいぜい300万円程度と思っていた方ががっかりしなくてすみます。
財産分与
結婚した後に財産が増えていれば、それを合計して半分こにするものです。たとえば、夫の財産が200万円増えており、妻の財産が100万円増えていれば、合計して300万。半分にして150万。妻は150万から自分が持っている100万を差し引いた50万円をもらえるということになります。
年金分割
夫が厚生年金や共済年金に加入している場合に、年金受給開始後に婚姻期間などに応じて、夫が受給する年金から幾分かが妻が受給する年金に上乗せされるという制度です。皆さん期待しますが、金額にしたらさほどのものにならないことが多いようです。でも、ないよりはるかにましです。
離婚と子供
可愛いお子さまとは離婚しても一緒に暮らしたいもの。一緒に暮らすには親権者となるのが原則です。ただ、監護権を持って、一緒に暮らすことも稀にはあります。一緒に暮らせないとしても、養育費は支払うことになります。あなたのお子さまなのですから。養育費払ってるんだから、せめて一緒に遊びに行くぐらいはさせて欲しいと思うのが人情でしょう。離婚した後、親にはどんな権利と義務があるのでしょうか。
親権
子どもを養育し、監督する権利です。18歳になるまでの子に認められます。長く20歳とされていましたが、法改正により18歳になりました。子どもを誰が育てるかというと、親権者です。親権者になれないと子どもを奪われてしまいます。ですから、お母さんは親権はマストだと、親権者になれるかを心配します。でも、この国では、親権者は母だとされるのがほとんどです。
監護権
親権者が監護権を持ちます。ただ、まれに親権者は父、監護権者は母というように親権者と監護権者が別の人になることがあります。現実に育てるのは監護権者です。父親が親権にこだわる場合に、現実に養育するのは母として交渉をまとめたりします。
養育費
子どもの生活費のことです。生活費と言っても、学校の費用なども含まれます。金額は合意できればその金額になります。合意できなければ、裁判所でということになります。裁判所ではいわゆる算定表での金額を基礎として決められます。算定表はネットですぐにヒットします。互いの収入によって金額が出てきます。
面会交流
子どもと面会することです。離婚後、子どもは母親が育てているのが普通ですが、父親が子どもに会いたいと言ってくることがあります。そのようなときに、どんなルールで面会するかを決めなければなりません。あなたも働いていて忙しいのに毎日会わせろと言われても困ります。そもそもが妻にも子にもDVしていたような父親であれば、会わせないことが子どものためだということもあります。
子の引渡請求
たとえば、あなたが親権者なのに別れた夫や妻が子どもを拉致する場合があります。一時、夫の母親に預けるつもりで引き渡したら、返さなくなったという例もあります。相手方がどうしても子どもを返してくれないときには、裁判所に子の引渡しを請求する申立てをしなければなりません。
1日も早く子どもとの暮らしを再開したい気持ちはわかりますが、時間がかかることを覚悟してください。裁判所はどちらが育てることが子どものためかを慎重に決めようとします。