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事件処理を依頼するときの「費用」について



1. 費用の決め方

 

 まず、弁護士の費用は結局は応相談です。一応の基準はそれぞれの弁護士が持っていますが、それは一応の基準です。その基準に基づいて一定の金額を提案しますが、最終的にはお話しあいで決まることになっています。決まれば、委任契約書に署名・捺印して契約成立。契約書に書かれていないお金を弁護士が請求することはありません。

 もちろん、たとえばあまりに長くかかってしまうような場合に、追加の着手金のお支払いをお願いすることもありますが、それも依頼者に承諾していただいてこそのことです。



2. 費用-着手金と報酬金

 

 弁護士の費用について説明します。弁護士費用は着手金報酬金とからなります。

 

(1) 着手金はそれをいだいてから事件の処理を始めるというもので、これは仮に敗訴したとしてもお返ししません。

 それはひどいとお考えの方、少なくとも私は敗訴の可能性が高いと思ったら、それを率直に説明します。その上で、依頼者の方がそれでもやる意義があるとお考えの場合に、お引受けすることにしています。離婚訴訟をしても勝てないかもしれないが、訴訟の途中でお話し合いによる解決を目指すというような場合です。また、憎い相手を被告席に座らせたらそれでよいという人もたまにいらっしゃいます。

 ただ、敗訴必至という場合には、着手金を多めにすることをお願いしたりすることもあります。敗訴するのに高い金額を払うのかというお考えは当然です。ただ、報酬金をいただける見込みがない場合には、経営上、やむを得ないところです。


(2) 実費依頼者様に負担していただくことになります。離婚調停を申し立てると申立書に貼り付ける収入印紙が1200円、裁判所に納める郵便切手が1022円かかります。金額は、東京家裁に申し立てる場合の令和4年12月当時の金額です。

 その他にたとえば遠隔地にある裁判所に出頭する場合には日当のお支払いをお願いすることになります。

 新型コロナウイルスが蔓延したことから、最近は裁判所の手続きもweb会議で行うことが多くなっています。私の事務所は東京の銀座にありますが、東京地方裁判所まで片道25分というところです。それでもweb会議でやっています。web会議であれば、たとえば鹿児島の事件でも出張はしなくてすむ場合があります。web会議が実施されていない頃に、札幌家庭裁判所小樽支部の調停事件を電話会議でしたことがありました。その事件では一度も裁判所に出頭しないで離婚が成立しています。


(3) 報酬金はよい結果が出た場合に、その内容に応じてお支払いいただくものです。全面敗訴すれば、報酬金は0円です。




3. 着手金と報酬金の計算方法

 

 

 着手金と報酬金をいくらにするかについては、以前は日本弁護士連合会が一応の基準を定めていましたが、独占禁止法に違反している疑いがあることから、今では無効になっています。個々の弁護士が自由に決めてよいことになりました。

 とはいえ、多くの弁護士がその日本弁護士連合会-長ったらしいのでこれからは「日弁連」といいます-その日弁連の基準を自分の基準としています。私もそうです。

 どういう基準かというと、下の表のようなものです。


 着手金及び報酬金の算定方法 (旧)日本弁護士連合会報酬等基準による。

​経済的利益

着手金

報酬金

300万円以下

経済的利益×8% ※

経済的利益×16%

​300万円を超え、3000万円以下

経済的利益×5%+9万円

経済的利益×10%+18万円

3000万円超

経済的利益×3%+69万円

経済的利益×6%+138万円

※着手金の最低金額は10万円              いずれも消費税別



 「経済的利益」というのは、着手金についてはいくらの支払いを受けることを目指すか、報酬金については、調停、審判、判決などで支払いを命じられた金額です。和解で終了した場合には、相手方が和解で支払いを約束した金額です。

 たとえば、慰謝料を300万払わせることを目指すとすると、この表の一番上の行で計算します。300万×8%=24万と消費税ということになります。仮に300万を支払えという判決が下されれば報酬金は300万×16%=48万と消費税ということになります。




4. 離婚自体の経済的利益

 

 

  さて、それでは離婚それ自体の経済的利益はいくらになるのでしょうか・・・?

 仮に慰謝料もいらない、婚姻費用もいらない、とにかく別れたいという方がいらっしゃいます。そのときには着手金も報酬金も計算できないじゃないか、弁護士がただ働きするんだなとお考えの方もいるかもしれません。でも、そんなことにはなりません。


 離婚それ自体のように、経済的利益の算定ができない場合には経済的利益を800万として算定します。800万だと着手金が49万と消費税、報酬金が98万と消費税ということになります。ただ、これでは少し高かなということで、3分の2程度に減額することが多いようです。着手金は33万弱と消費税、報酬金は65万程度と消費税ということになります。ただ、私は着手金は30万円と消費税、報酬金も30万と消費税ということにしています。


 ただ、この着手金30万と消費税というのは調停段階までで、離婚訴訟を提起したり、離婚訴訟を起こされたりしたら、追加着手金20万と消費税のお支払いをお願いすることにしています。



 離婚だけでなく、婚姻費用や養育費、慰謝料や財産分与も請求することになると、それは経済的利益を算定することができるので、その金額によって計算するのが原則です。

 それを離婚そのものの着手金30万円と消費税に加算する場合もありますが、これも応相談で、加算せずに30万円だけとする場合もあります。




5. 支払いがむずかしい場合

 

 着手金を支払うのがむずかしいという方については、分割払いのお話し合いをすることもあります。ただ、着手金総額を少し大きな金額にするようお願いしています。これも依頼者が納得していただければという前提です。

 激しいDVを受けていたり、しつこいモラハラを受け、身一つで出てきたような方は助けてあげなければと思います。着手金を一括して支払えないからと言って、そのような方を見放すようなことはできません。 


 それでもどうしても着手金を用意できない方については、法テラスに援助を申請します。収入要件だの資産要件だのありますが、それさえクリアすれば、法テラスの援助を受けることは難しいことではありません。

 審査を通れば、着手金は法テラスが立替払いしてくれます。立替払いですから、それを月に1万円だの5000円だのを返してゆくことになります。ただ、事件処理の結果、相手から支払いを受けた場合には、着手金の残金は一括して法テラスに納めることになります。それに、支払いを受けた分の報酬金も、相手が支払ったお金の中から法テラスに支払います。

 法テラスの基準による着手金や報酬金の金額は先に説明した日弁連の基準よりも低い金額です。

 法テラスの援助を受けるには、弁護士が法テラスと契約している必要があります。私は契約していますので、着手金の支払いができないという方もご連絡ください。




6. 費用が高いと感じる方へ

 

 いろんな事務所のホームページがある中で、私の基準は中庸ではないかと思います。ただ、ひどく安い基準を定めている弁護士もあります。

 弁護士の能力だのはホームページからはわからないので、誰に頼もうかというときには、やはり弁護士費用が安い方だということになるかと思います。


 もちろん、低い金額で十分な弁護をしてくれれば、それが一番です。ただ、安かろう悪かろうというところもあると聞いています。私は30年近く弁護士をしており、処理した離婚事件の件数も数十件に上ります。それなりに離婚事件を処理する能力はあるのではないかと自負しています。ですから、これまでに説明した基準としています。


 とりあえずは一度、事務所にいらっしゃってください。ゆっくりお話ししましょう。最初に説明したように、弁護士の費用は応相談です。率直な希望をお知らせください。

 離婚事件を処理することで、依頼者の方々がより幸せになることのお手伝いができることが私はもちろん、所員一同の喜びです。費用について相談しましょう。



 


 

木村法律事務所 03-5524-1552

東京都中央区銀座1-5-7 アネックス2福神ビル5階



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