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養育費の請求

更新日:2022年7月14日



 

養育費の支払いを請求しましょう。

 愛の終わりがやってきました。いや、ずっと前から愛なんか冷めていました。もうあんな人とはやっていけない。そんなふうに思い始めてからもう何年も経ちます。

 でも、子どもがいるんで我慢してました。でも、その我慢も限界。別れるしかないと思い詰めて、子ども2人を連れて出てきました。11歳と8歳の男の子。もう二度とあんなところには帰らないと固く決意。


 売り言葉に買い言葉で、旦那も離婚届に署名・捺印してくれました。あなたは晴れて独身。うっとうしい毎日からの解放。自由を謳歌。


 自由にはなりましたが、問題は先立つもの。少し貯金はあるし、パートで働いているから無収入というわけじゃない。でも、パート収入は月8万程度。これだけじゃ母子3人が生きていけるわけがない。両親や兄弟はみんな余裕がないから、助けてなんかもらえないし。当面は貯金を取り崩すとしても、将来はどうなる?おっとりしてる長男は勉強もあんましないし、高校出たら働くって言ってる。でも、次男は成績がよくてなんとか大学に進ませてやりたいと思うけど、私立にということになると、4年間で500万は覚悟しないと。それよりも、私の収入でそもそもちゃんと高校出せるのかしら。


 

 

養育費を請求しましょう。 こんな不安を抱えているあなた。養育費を請求しましょう。父親であれば、当然、子を援助する義務があります。扶養義務とかいいます。これは離婚しようがすまいが親の義務です。


 離婚するときには離婚と同時に養育費の約束もしとかなきゃいけなんじゃないんですか、なんて質問をされたことがあります。そんなことはありません。離婚した後にも、養育費の請求はできます。事実上、離婚するときに同時に養育費の取り決めをすることが多いということに過ぎません。


 「養育費の請求には調停を申し立てるのかしら?裁判所なんて行くのはイヤだわ。」という方、養育費の請求に調停はマストではありません。

 養育費を払ってくださいなと言えば、黙ってそれなりの支払いをしてくれる父親はいます。金額についてぶつぶつ言っても、満額とは言わないまでも、値引きして支払ってくれる父親もいます。子煩悩な父親であれば、子が飢えても仕方ないなんて思いません。

 気の利いたお母さんは、公正証書にすることを求め、それに応ずる父親もいます。公正証書にしておけば、強制執行ができるようになります。給料の差押えとかができるようになります。そういう方法があるというだけでも、父親への圧力になりますよね。給料が差し押さえられるときには会社に裁判所の書面が届きます。他の社員に養育費を支払っていないことがばれてしまいます。社長にも知られるかもしれない。クビが危なくなるかも・・・。

 お子さまと頻繁に面会を求めてくる父親もいます。お母さんは子どもを人質にとっている状態。それなりの養育費の支払いを要求しましょう。


 ここまではあなたが自分でできること。



 父親との話がまとまらなければ調停かというとそうでもなく、弁護士を代理人に立てて、話し合いをすることもあります。弁護士に養育費に関する相談をした場合、すぐに調停ということになる場合は少ないでしょう。まずは話し合いを求めます。もちろん、父親が「お前が連れて行った子どものために金を払うなんてまっぴらだ。」と断言しているような場合は別ですが。

 弁護士が交渉して、解決できる場合もあります。


 でも、それでもダメな場合には、調停を申し立てるしかなくなります。


 裁判所も調停も別に怖いものじゃありません。裁判所は要するに建物ですし、調停で会うのは調停委員2名と裁判官1名。裁判官ったって、法服は着てませんし、一段高い所に立って、こちらを見下ろしているというものではありません。調停室はフラットで、一段高い所はありません。裁判官がテーブルの上に正座でもしてれば別でしょうが、これまで30年近く弁護士してますが、そんな裁判官には会ったことがありません。


 調停はお話し合い、両方が、イヤイヤであっても合意した場合に成立します。成立しなければ、審判という手続きに移行します。審判は合意で成立するわけではなく、裁判官が両方の意見を聞いて、どこかに線を引いてくれます。審判の内容が不服であれば、即時抗告という不服申立ての手続きが用意されていますが、自分は納得できないというだけでは審判はひっくり返りません。法律的な観点から、家裁での審判の内容に問題があることが必要です。






 さて、一番問題となるのは、家裁ではどんな基準で養育費が決められるかです。さて、気になるお値段ですってところですね。


 まずは、毎月支払われる養育費について説明します。それ以外の、たとえば大学入学で入学金の支払いが必要だとか、子が病気になってしまい多額の治療代が必要だとかいう場合については、後で説明します。


 毎月支払われる養育費は基本的には母親の年収と父親の年収とで決まります。算定表と呼ばれる表があります。ネットで検索すればすぐに出てきます。

 子が1人である場合、2人である場合、3人である場合で表が分かれます。さらに子の年齢が15歳に充たないか、15歳になっているかで表が別になります。

 どこぞの家族のように、子が8人もいる場合にはどうしましょうか。算定表では定められないので、面妖な数式で計算します。


 算定表の下側に「権利者の年収」とあります。養育費を請求する権利がある人、ここではあなたの年収です。左側に「義務者の年収」とあります。養育費を支払う義務がある人、ここでは父親の年収です

 年収は給与と自営とで分かれます。あなたが給与所得者であれば下側の下の欄の数字を見ます。あなたの年収と同じ金額があればそこ、なければその近くということになります。そこから上に向かって線を引きます。父親の年収については、左側の欄を見ます。同じようにして決まったところから、今度は水平に線を引きます。縦の線と横の線が交わるところが養育費の金額ということになります。


 「でもこんな金額じゃ全然足りない。だって、次男は私立の小学校に通ってんのよ。」とか、「ワンちゃんが13歳の高齢で、やたらに医療費がかかる。それはどうしてくれるの。」なんて事情で、もっとと思う場合もあります。理由がなくても、もっと欲しいところですけど

 このような特殊な事情がある場合は、まずは算定表で金額を求めて、それを修正していきます。たとえば、あなたが実家にただで住んでいる場合には、父親側から家賃の負担がないのだから、その分だけ養育費を減額しろとか言ってきます。ワンちゃんを飼っているから、その餌代の半額を負担してくださいと要求したこともあります。父親側は「そんなものは払わない。犬は殺処分にすればよい。」とか言ってきました。信じられないでしょうが、本当にあったことです。

 そのような要求をぶつけ合って、話合いをします。


 話し合いがまとまれば調停成立ということで、調停調書という書類が作られます。合意した内容が書かれています。この調停調書があれば、強制執行ができます。給料の差押えとかができるわけです。


 話し合いがまとまらなければ、審判に移行します。調停は合意で成立しますが、審判では合意は必要ありません。裁判官が双方の主張を聞き、証拠を検討して、決めます。

 ただ、その結論は基本的には算定表で得られた結果からそうは離れないことが多かったですね。

 審判によっても、強制執行ができます。


 それでは、子どもが病気にかかり、多額の治療費が必要になったとか、大学に入学して入学金と学費の負担が必要になったとかの場合については、どうなるのでしょうか。

 多くの場合、調停条項に、そのような場合には別に協議するという条項が設けられます。協議の結果、金額が定まれば、支払いが行われるとうことです。いつ、いくら必要になるのかが見通せないので、具体的な金額を定めるのはなかなかむずかしいことです。具体的な金額が調停調書に書かれていなければ強制執行ができませんが、仕方がありません。話し合いで決めるしかありません。


 さて、養育費の請求をしましょう。あなたのためではありません。子どものためです。可愛い子どものためにがんばりましょう。




 

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