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収入はいくら?



 さぁ、晴れて別居しました。煩わしい夫(または妻)に気を遣うこともなく日々を送れるようになりました。めでたし、めでたし。でも生活費が不足しています。どうしましょうか。

 別居してるだけ、つまりまだ離婚していないときには、生活費の支払いを請求できます。この段階では、あなたの生活費、子どもがいてあなたが育てている場合には、あなたとお子様との生活費を請求することができます。こんな場合の生活費のことを、法律の世界では「婚姻費用」といいます。

 離婚すれば、あなたの生活費は支払ってもらえません。でも、子どもの生活費は別です。離婚しただけでは親子の縁は切れません。育てていなくても、子どもの生活費は支払ってもらえます。この子どもの生活費は「養育費」といいます。説明するまでもありませんでしたね。

 

 婚姻費用だの養育費だのは、原則として双方の年収によって決まります。いろんな出費を積み上げる方法ではないことは、別のページで説明してあります。

 さて、そこで気になるのはお値段・・・ではなく、年収です。たとえば調停だの審判だのという裁判所での手続になった場合、裁判所はどうやって年収を認めるのでしょうか。

 

 たとえば、共働きでサラリーマンをしているとします。この場合、双方が前の年の源泉徴収票を提出します。その金額が年収だということになります。

 

 じゃあ、2月に解雇されて無職になったとします。一生懸命求職活動をしているのに、職が見つからず、収入がなくなりました。こんな場合、どうしましょう。

 こんな場合には、解雇されたことを主張・立証して、収入がなくなったことをアピールします。今年の年収は前年の年収×2ヶ月/12ヶ月との計算による金額しかないと主張することが考えられます。

 ただ、このような主張が当然、認められるとはお考えにならないでください。相手方は2月に解雇されたしても、3ヶ月もすれば再就職できるはずだと主張するかもしれません。あなたが再就職できたとしても、収入はかなら下がるはずだと主張した場合、相手方は下がるという保証はない。上がるかも知れないし、変化しないかもとしれないと主張するかもしれません。いずれの主張についても、その根拠を挙げて主張しなければなりません。

 でも、将来のことですから、確実なことは言えません。お互い主張を戦わせて、調停委員の意見も聞いて、どこかで折り合いがつけば、その金額を年収とすることを前提として調停を進めることになります。その金額を前提として、算定表により一応の金額を見いだし、それに私立学校に通っているとかの特殊事情を主張して、調停を進めるという展開が考えられます。

 調停が成立しなければ、審判ということになり、裁判官が決めてくれます。裁判官の判断は予測しがたいのですが、それなりのところに落ち着かせるくれることが多いようです。

 

 婚姻費用だの養育費だのを請求していると聞くと、働かないことを勧める方がいらしゃいます。「収入が小さい方が、養育費をたくさんもらえるんだから、働いたら損よ。」とかいう悪魔の囁きをあなたの耳に吹き込む人がいます。さて、どうしましょうか。

 働けるのに働かないで収入がないと主張した場合、裁判所がその主張をそのまま認めてくれるかというと、そうでない場合の方が多いと私は考えています。現実に経験した事件では、裁判所はそれなりの年収があるとして、婚姻費用を算定してくれました。知りたいと思われるかも知れませんが、いくら認めてくれたかは㊙です。婚姻費用だの養育費だのを請求する事件の処理を任せていただけば、お知らせします。そこのあなた、せこいヤツとか言わないでくださいね。

 

 政府が賃金センサスってのを作っています。乱暴に言うと年収の平均値だということです。年齢と学歴、男性か女性かと言う基準で細かく金額が挙げられています。

 たとえば、令和3年の賃金センサスでは、高卒の女性で30歳から34歳だと年収が311万程度だとされています。大卒の男性で、やはり30歳から34歳だと440万程度だとされています。程度と書きましたが、正確には440万7100円とされています。

 どうでしょうか?「オレ、もっともらってるよ。」とか「わたし、そんなにもらったことなんかない。政府が作ってるのに、なんなのよ。」とかいろいろな感想があると思います。女性のクライアントにこの表を見せると、たいがい「政府が作っているのに・・・」なんてお考えになることが多いようです。

 でも、婚姻費用だのの支払いを求めるとして、相手方が年収に関する資料を提出しないことがあります。働いてないとか言い出すこともあります。どうやって食べてんのとか言いたくなりますよね。ロレックスの時計はめてるのに・・・

 そんなときにはやむを得ず、賃金センサスの金額をもらっているはずだと主張することがあります。主張の内容と証拠から、認められる場合もあります。認められない場合もあります。

 裁判所は現実の年収がいくらかということを重視するようです。

 

 いずれにせよ、婚姻費用だの養育費の金額を決めるにあたっては、まず年収の把握が必要であること、自分の年収に関する資料を提出しなければならない反面、相手方の年収を立証するために苦労することがあることを申しあげておきます。

 「なんでこっちだけ?」とお考えになるかもしれませんが、そうしないと調停が進みません。

 

 



 


 

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