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事情変更



事情変更

 

 つきつけられた条件は欲張りすぎ!養育費月40万なんて払えるわけがない。でも、このままこの人といると、人生はメチャクチャ!なんとか離婚して人生を取り戻さないと・・・一刻も早く別れたい。

 ええい!離婚するのが先!清水の舞台から飛び降りる気持ちで、この条件を承諾してしまえ!


 こんなふうに考えて調停を成立させたり、公正証書を作ったりする人がいます。清水の舞台から飛び降りる気持ちで、清水の舞台から飛び降りたのと同じ結果になってしまいました。


 離婚調停を申し立てたりすれば、養育費については調停員がいわゆる算定表を出して、それで適正な額を示してくれます。その金額でも無理だと感じるかもしれませんが、とりあえずは相手方もその金額でやむなしということになり、算定表の金額で決めました。

 そのときには、結婚なんかまっぴら、二度と結婚なんかするもんかと思っていたのです。でも、2年も経つと、素敵な人が現れました。籍も入れて、子供もできました。こうなると、重くのしかかってくるのが前のお連れ合いとの離婚条件。そのときには適正だったのかもしれないけど、これじゃ生まれた子供を大学にもやれない!


 養育費の支払いを受ける方の事情が変わる場合もあります。総合職でブイブイ言わせて年収600万あったのに、会社が倒産して失職。人差し指立てて、「ビズリ~~~チ!」といくら唱えても、そんな収入の仕事は見つからない。やっと見つかった仕事は、年収200万にとどかない。しかも残業がめっちゃ多いのに、残業代はもらえない。親の助けも借りて、必死に仕事と子育てを両立させてきたのに、これじゃとてもやっていけない!養育費を増やしてもらわないと・・・


 子供は可愛い。でも、その父親の顔は二度と見たくないし、声も聞きたくない、思い出したくもない!でも、背に腹は代えられず、屈辱的な思いを押し殺して父親に連絡をとっても、すげない態度。「自分の収入とオレの収入があんま変わんないって、オレを馬鹿にしてたよな。そのつけが回ってきたのさ。自業自得だ。」なんてお説教まで始める始末。こんなところが一番イヤだったと昔を思い出し、別れてよかったと再確認しても、それでお腹はふくれない。

 子の父親は「調停で決まったことだ。裁判所で決めたんだから。その金額は変えられないはずだ。」とか言ってる。


 ほんとでしょうか。


 間違っています。

 裁判所で決めたことは裁判所で変更できます


 調停なんかで一度養育費の金額を決めると、その内容の権利が発生します。この権利の変更、たとえば養育費の増額は合意ができれば別ですが、それができない場合、調停を申し立てて変更することができる場合があります。もう一回調停を申し立てましょう。


 もちろん、一度決めたことを簡単に変更することはできません。でも、前の調停での基礎となった事情が変わった場合はまた別です。


 最初の事例、つまり、かなり過酷な条件を別れたい一心で承諾してしまったような場合には、事情変更はないので条件が過酷だというだけで変更はなかなかむずかしいでしょう。





 次の事例、つまり再婚して新たなお連れ合いとの間に子供ができたりした場合です。こんな事件はわりとよくあります。事情が変わったからと言って、一方的に減額して送金したりすると、強制執行を受ける危険があります。マンションを差し押さえて競売したり、給料を差し押さえたりといった方法です。調停調書にはそんな強力な効果があります。


 養育費でマンション差押えなんて大げさなと思いますか?養育費を月15万と決めた場合を考えます。1年で180万、4年滞納して720万。マンションの差押えはありえます。


 おうちが競売されると、売却価格は時価の7割程度だと言われます。大損!しかも、そこを出て引っ越さなければならなくなります。

 給料を差し押さえられたりすると、裁判所の債権差押命令書という書面が会社に届きます。経理課が目を通します。個人情報だから漏れないだろうと思うと大間違い。悪いウワサは給湯室からどんどん広まります。

 「島部長、ダンディで、仕事もできる。出世頭であこがれる女性社員もたくさんいたのに、前の奥さんに養育費支払ってないんですって・・・」なんてウワサがクスクス笑い付きで広まります。

 こんなふうに強制執行なんか受けるとろくなことになりません。それは調停で決まったときに、弁護士からアドバイスされているはずです。それだけに、相手方が減額に応じない場合に、強制執行を免れようとすれば、調停を申し立てるしかなくなります。


 まず、再婚したお連れ合いの収入、再婚相手の収入、できた子供の年齢、前妻との間の子の年齢などを前提として、面妖な計算式で試算して、金額が小さくなる可能性を探ります。


 調停を申し立てて、仮に調停が成立しなくて審判に移行して裁判官が決めても低くなる可能性ありということであれば、調停を申し立てましょう。


 その次の事例、つまり会社が倒産して収入が激減した場合についても、まず見通しを立てましょう。

 まず、収入がかなり大きく変動したことが必要です。年収600万が580万に減ったぐらいではむずかしいでしょう。600万が200万になったのであれば、可能性大です。


 こちらの収入と相手方の収入を前提として、養育費がいくらぐらいになるかの当たりをつけます。相手方の収入はわかりませんが、とりあえずの推定額でいきましょう。元の会社で順調に勤務しているのであれば、年功序列で昇給している可能性があります。


 転職してて、相手方の収入が全然わからないということであれば、収入を明らかにして養育費を増額せよと連絡してみましょう。しないのであれば、調停を申し立てるからねと付け加えます。「次回は裁判所でお会いしましょう。」ってやつですね。

 裁判沙汰なんか一度で懲りたなんて人はたくさんいます。調停をまた申し立てられるよりは、おとなしく話し合おうという人もいます。前の調停でかなりもめて、いろんな主張をしたけど、話し合いがまとまらなくて、審判に移行したら裁判官はこちらの主張をほとんど認めてくれなかったなんて経験があると、調停なんぞは骨折り損のくたびれもうけなんて考えてくれて、裁判所に行かずに協議に応じる可能性があります。


 しかし、子供を幸せにしようと必死に子育てをするシングルマザーの強さを知らずに、面倒だからということで、問題を先送りする大人のなんと多いことか・・・ってお前はチコちゃんか!

 なんの返事もなければ、調停を申し立てるか、もう一度「収入が低いのであれば、調停は諦める。」と書いて、収入を証明するもののを送れと手紙を出しましょうか。

 そこから先についてのアドバイスが必要であれば、ぜひ、一度事務所にいらっしゃってください。


 あ、子供を一人にしておけないから、行けないとおっしゃる方がいらっしゃいますが、お子さんを連れてきていただいてまったくかまいません。小さいお子さんが大好きな事務員2名が歓迎します。



 


 

木村法律事務所 03-5524-1552

東京都中央区銀座1-5-7 アネックス2福神ビル5階



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