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素人アドバイザーに注意しましょう

  • 2月18日
  • 読了時間: 5分


 ひどいギャンブル亭主。給料はつかい果たし、貯金はなし。家賃分だけは残してくれと言っても、それすら渡さない。その上に子ども達の学資保険を勝手に解約して馬券を買ってたことが発覚。奥様が結婚前から持っていた預金は生活費に使ってしまい、10万ぐらいしか残っていない。

 文句を言うと、30倍になって返ってくるし、壁に皿をたたきつけて割ったりする。身がすくんで、言葉が出なくなる。「お前に向けて投げたんじゃないから、DVじゃないぞ。」なんて言って、繰り返す。

 明日がまったく見えない、針のむしろに座っているような毎日

 

 友人に相談しました。友人は親身になって話を聞いてくれます。手を握りしめて一緒に泣いてくれました。思いっきり、共感してくれます。私の唯一の味方はこの人って気分になります。「早く弁護士に相談して別れてしまいなさい。」とか言ってくれました。ネットで検索して、弁護士の事務所を調べて、電話番号まで調べてくれました。「弁護士先生なんて敷居が高くて・・・」なんて言ってると、「私が一緒に行ってあげるから。」と心強い言葉。電話して、アポ入れました。

 

 弁護士に相談しました。自分より友人の方が熱くなって、8割方、友人が話している。「先生、結婚前の預金を取り戻してあげてください。それにこんな目にあったのだから、1000万円はとれますよね。」とか言ってくれる。なんという心強い援軍!

 

 弁護士もずいぶん同情してくれました。ところが、離婚はできるだろうけど、亭主に資産がほとんどないようだから、1000万なんてとっても無理だとか言い出す。

 友人エキサイト。「どうしてですか!こんなにひどい目にあってるんですよ。1000万ぐらい当たり前じゃないですか。」と弁護士に迫る。「私もそうは思うんですけど、裁判所ではそれは無理ですね。」

 友人、さらにエキサイト。「今日はお世話になりました。」なんて勝手に打合せを打ち切る。

 

 別の弁護士にも相談しました。やっぱり1000万円は無理だなんて言う。でも2人の弁護士が同じこと言うんだから、そうだろうと思い、任せることに。

 友人に報告すると、「ダメじゃない!他の弁護士にしなさい。」なんて興奮。その弁護士は断り、また別の弁護士に相談すると、やっぱり1000万円は無理だと言う。また、友人に報告。「ダメじゃない!・・・。」いつまで経っても、弁護士が決まらない。

 

 早く離婚したいと思って、とりあえずその次の弁護士に任せることにしました。その友人、「ダメじゃない」と言いながら、打合せについてきます。弁護士がなにを言って申立人「違いますでしょ。1000万は譲れません。」と言って、いつまで経っても請求金額が決まらない。調停の申立てもできない・・・。

 

 ようやっと、調停を申し立てて、ある程度の調停案がまとまりかけました。その友人は「1000万じゃなきゃ、調停なんか成立させられるわけがないでしょ。」とか言う。クライアントもその言葉に引きずられて、調停は不成立に。

 

 でも離婚はしたいもんだから、別の弁護士に離婚訴訟の提起を依頼。前の弁護士に引き続き離婚訴訟をお願いするのであれば、費用もプラスαだけ負担すればいいけど、新しい弁護士であればまるまる支払わなきゃ。

 

 法廷で戦いました。結果は?

 離婚はできました。でも、相手方が支払いを命じられた金額は調停案と同じ金額。

 

 調停を成立させれば、そこで離婚できてました。満足はできなけれど、支払いも受けることができました。離婚訴訟に踏み込んで、弁護士費用は増えました。1年以上もかかりました。弁護士との打合せでずいぶん時間もつかいました。仕事も休まなければなりませんでした。原告本人尋問、ひらたく言えば原告の証人尋問です、その原告本人尋問をして証言台で夫の弁護士に散々いじめられました。

 勝ったらお金を払ってくるのかと思えば、払ってきません。給料の差押えなんかの強制執行をしなきゃなりません。安月給だと1か月あたりに差し押さえられる金額もわずかなものです。何年もかかるかもしれません。弁護士に強制執行を委任すれば、その費用もかかります。

 実は、調停だと夫もいやいやながらも約束したのだから、割とすんなり払ってくるのが多いようです。

 この件だと、結局は、調停を成立させた方がよかったということになります。

 

 このお友達は友情にあつい人です。我がことのように心配しています。シングルマザーが子どもを育てるのはたいへんです。1000万円なきゃという気持ちは弁護士もよくわかります。

 でも、調停にしろ、離婚訴訟にしろ、最判沙汰は法律と実務の慣行で進んでゆきます。いわば一定の枠があるわけです。その枠を乗り越える努力はしますが、弁護士がいくらがんばっても乗り越えられないことがたくさんあります。

 このお友達は法律家ではないのですから、そんなことはわかりません。でも、依頼者にとっては心強い援軍。とはいえ、結果から見れば、お友達の言うことを尊重して、言い換えれば弁護士の言うことをきかないで、突っ走ったのは失敗だったと言えるでしょう。

 

 餅は餅屋って言葉がありますよね。弁護士は法律の専門家。経験を積んだ弁護士の判断はそれなりのものです。

 

 親身になって心配してくれる友達はありがたいものです。でも、とんちんかんなアドバイスを真に受けると道を誤ります。結局、弁護士の言うとおりにするのが一番よかったということになりかねません。

 友情は友情、大事にしましょう。でも、裁判沙汰では弁護士の判断を尊重しましょう。






木村法律事務所 03-5524-1552

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