top of page
bnr-small.jpg

ブログ

共同親権-お父さんのための傾向と対策


 共同親権なんてとんでもないという、特にお母さんがたくさんいらっしゃいます。私もとんでもないと思ってます。

 いろいろ腹立つことはあったけど、そんなに深刻に対立せずに離婚する場合、特に子どもは一緒に育てようという意欲がある場合ならいいんですが、私が任せていただける事件にはそんな事件はありません。そんなんなら、弁護士なんかいらないっての。

 

 私が代理している事件は、かなりひどいモラハラ、DVがある場合がほとんどです。ひどいモラハラ、DVを受けたお母さんが、これからも節目節目で父親と子の育て方について話し合うなんてことはできね~っつ~の!無理いうんじゃねぇ!

 申し訳ありません、下品で。でも、それがお母さんの本音でしょう。

 

 なんて言ってると、共同親権は男性にだけ都合のよい制度のようにも見えます。でも、そうでしょうか。

 

 共同親権の制度が施行された場合、施行というとむずかしいようですが、要は共同親権制度が動き始めた場合に、離婚調停だの離婚訴訟にどんな影響が及ぶかはもちろん予測するしかありません。これから書くことは、必ずこうなるなんて思っていることではありません。

 

 そもそも、離婚訴訟になると、双方が相手方をののしり合います。ののしり合いにほとほと疲れて、もともとは離婚する気がなかった人でも、離婚するしかないかと思ってしまうようになる場合もあります。

 

 離婚するためには夫婦関係が壊れてしまっていることを裁判所に納得させる必要があります。法律的には「婚姻関係が破綻している」なんて言います。婚姻関係が破綻していることを主張しようとすると、やはり破綻に至る原因がなきゃあねということになります。旦那から激しいDVを受けたとか、毎日のようにモラハラを受けたとかいうことを主張します。

 離婚は離婚として、慰謝料を請求するためにも、婚姻関係破綻の原因が相手にあることを主張しなければなりません。結局はDVだのモラハラだのを主張することになります。

 

 そうすると旦那から見れば、自分が攻撃されたと受けとめます。ないことないことで攻撃されば、もちろん激怒。あることあることで攻撃されてもやっぱり激怒。夫達は家庭内で起こった恥ずかしいこと、特に自分がどうしようもないお子さまであることなんてことは絶対に表に出ないと思っています。でも、それが法廷にさらけ出されることになるわけです。もちろん、意地になって反論します。

 反論しようとすると、ついつい盛ってしまいます。争いはいっそう激しく。

 

 夫が慰謝料を支払うまいとすれば、お母さんの悪いところを法廷で主張しようとします。いたらない嫁で、ろくに家事もしない、それが婚姻関係破綻の原因だとか言い出します。

 自分が疲れて帰ってくるんだから、家に着く頃には掃除を完璧にして、おいしいご飯もすぐに出てくるのが当然だ、風呂がわいてないなんて論外だ!帰っても散らかってるし、ご飯が出てくるのも遅い。自分が好きな納豆を、毎日出して欲しいのに、匂いが嫌いだとか言って、1週間に1度しか出さないとかです。

 めっちゃ高収入で十分すぎる生活費を渡して、奥様を専業主婦とさせてあげられるような旦那様だったら、こんなことも期待していいかもしれません。納豆は家政婦さんにまぜまぜしてもらいましょう。

 でも、奥様も働かなきゃ家のローン払えないし、子どもの教育費用もたいへんなんて家庭で、奥様にこんなこと要求するのはどうでしょう。

 奥様も仕事をしていれば、残業もあるでしょう。そんなときに夫が先に帰ってきてれば、掃除も食事の支度もできてないのは当然です。納豆の匂いが嫌いなのに、週一で納豆を出してくれるんだったら、感謝してもいいのではとお考えになる人は多いのでは?

 

 もちろん、完璧な妻なんかいませんよ。完璧な夫なんてものがいないように。なのに、こんなことを理由として、婚姻関係が破綻したのは妻に原因があると言っても、裁判所としては、ワンコもめしあがらない夫婦ゲンカとしか思わないんじゃないでしょうか。

 うん、今度は上品に言えたかな・・・?

 

 とはいえ、お父さんがこんなことを主張してくれば、お母さんは反論。お母さんが反論すれば、お父さんは再反論。ののしりあいになります。

 女性は不愉快だったことは簡単に忘れないから、「あのときに・・・」なんて主張も出てくる。お父さんはお母さんにイヤな思いをさせたことはたいてい忘れています。そもそもイヤな思いをさせたことに気づいてもいないことも多いようです。ですから、お母さんの主張を頭から否定。「ねつ造だ。」とか言っています。おかあさんから見れば、ばっくれようとしているとしか思えません。その態度にお母さん激怒。裁判はいよいよ泥沼に。

 

 ここまで来れば、お父さんとお母さんの感情的対立は抜き差しならないものに。裁判官もあきれ顔。まぁ、家裁の裁判官はこんなことには慣れているでしょう。「虎に翼」の寅ちゃんだったら、笑顔で受けとめることでしょうね。

 

 さて、ここで親権が問題になるとして、父親の共同親権が認められるでしょうかというのが今日の問題。もっと早く始めろよとお考えの方、失礼しました。

 

 共同親権に関する民法の定めにはこんな定めがあります。

 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときは単独親権

 共同親権という制度は、子どもにとって大事なことは離婚後も両親が話し合って決めましょうという制度です。でも、泥沼の離婚裁判で前にも増して相手のことが嫌いになって顔を見るのもイヤになってしまいました。父親も、裁判まではそうでもなかったのに、泥沼の離婚裁判で相手の顔を見るのもイヤになってしまいました。

 どうしましょう。子どものことで冷静に話しあうんなんて無理じゃないですか。それでなくても、お父さんとお母さんは子どものことは自分の方がよくわかっているし、子どものためにベストなことは自分だけが知っていると思っていることが多いように思えます。そこで意見が食い違えば、仲が悪くなくても口ゲンカの始まり。一緒に暮らしてた頃によくありましたよね。ましてや、そもそもが相手の顔を見るのもイヤな2人。

 時が解決するなんて考えもあるでしょうが、私が代理して離婚した夫婦で、離婚した後もそれなりに接触があるという方はあまりいません。子どもが成長すれば、面会させるために一々母親が送り迎えする必要もなくなりますし。

 

 離婚裁判で感情的な対立が激しく母親が父親とは2度と関わり合いたくないと断言し、しかも、法廷で証明された離婚に至る経緯からはそれも無理はないと裁判官も思うような場合、父母が共同して親権を行うことが困難 ということになる可能性は高いんじゃないでしょうか。前に書きましたように、困難だったら単独親権。

 

 そうなると、慰謝料を払わせるためにも、単独親権者になるためにも、裁判でお母さんは散々、父親の悪口を言っていればいいということになりそうです。ところが、お父さんはあまりお母さんのことを悪し様に言って、仲が最悪であると裁判官に印象づけると「共同して親権を行うことが困難」ということになって共同親権者になれないなんてことも起こりそうです。

 こんなふうだと、父親は慰謝料の支払いをしないですむようにするためには、母親のことを悪し様にののしることが必要。共同親権者となるためには、母親のことを悪し様にののしることを控えるようにしなければならないということになります。さて、父親はどうすればよいのでしょうか・・・?究極の選択!

 私はなんとアドバイスすればよいのでしょうか。「男らしく、慰謝料をきれいに払って、共同親権者になることを目指しては?」って言えばいいのかな?

 でも、男ってたいがい女々しいんだよな・・・ 





 


 

木村法律事務所 03-5524-1552

東京都中央区銀座1-5-7 アネックス2福神ビル5階



Комментарии


bottom of page