1 もうダメ!もう1日だってガマンできない!顔見るのもイヤ!同じ空気を吸ってるのがイヤ!子どものためだと思ってガマンしてきたけど、子どもも最近、なんだか元気がないし、チックが激しくなってる!もう別れるしかない!
でも、どうしたら・・・
2 お話し合い
まずはお話し合いでしょう。話し合いで合意ができれば、あとは離婚届を提出するだけ。ただ、お金のことはちゃんと書類にしておきましょう。養育費だの慰謝料だのということです。口約束ではいずればっくれられます。
書類にすれば、しなかったことよりにまし。そんな約束した覚えがないなんと言われません。
でも、相手がたとえば養育費を支払わない場合、たとえば給料を差し押さえるなんて方法もありますが、それには判決だのが必要です。訴えなきゃいけなせん。
訴えるなんてことになれば、弁護士に相談したり、処理をお願いしたりしなきゃいけなくて、処理をお願いしたりするとバカにならない費用がかかります。
それに備えようと思えば、公証役場に行って、公正証書という書面を作っておくという方法があります。相手の協力も必要なので、簡単にすむとは限りませんが、作っておけば、簡単に給料なんかの差押さえができます。とりあえずはトライしましょう。
ここまでは裁判所に行かないで解決する方法です。でも話がまとまらなければ、裁判所に行くことも検討しなきゃいけなくなります。お子さんの親権者を母にするか父にするかで争うことがあります。夫が自分で育てると言い出しても、たとえば、夫の母親と同居して育てるとかできない限り、事実上、養育はできないはずです。でも、夫側がどうしても譲らないと、裁判沙汰にするしかなくなります。
裁判にするしかないけど、お金がない場合は離婚できないのでしょうか。そんなことはありません。調停の費用は印紙代1,200と切手代1,000円程度です。ただ、これは令和5年の金額です。切手代を1,000円程度としたのは、裁判所によって金額が違うからです。
調停は半分程度は弁護士をつけずに本人がしているという話を聞いたことがあります。ですから、弁護士なしに調停を進めることは可能です。ただ、私としては弁護士をつけるに越したことはないと思いますけど・・・
弁護士をつけようと思う場合、お金がないからと言って、すぐにあきらめることはありません。法テラスという所に行って、審査を通れば法テラスが弁護士に支払う費用を立替払いしてくれます。着手金だけであれば、20万円もしません。立替えですから、返還しなければなりませんが、1月5,000円程度で大丈夫です。シングルマザーでもなんとかなる金額です。生活保護を受けたりしてると、返さなくても大丈夫だったりします。
ですから、お金の余裕がないけど、弁護士に助けて欲しい方は法テラスに電話してみてください。法テラスが立替払いしてくれる金額はひどく低いので、弁護士としてはあまりうれしいというものではありませんが、法テラスの事件を受けてくれる弁護士はそれでも手を抜いたりせずにしっかりやる人がほとんどです・・・だと思います(笑)
3 裁判所で離婚をしようとすると、まずは調停、それでまとまらなければ訴訟ということになります。調停はお話し合いです。あなたがうんと言わない限り、調停は成立しません。
訴訟は裁判官が判決を下して決まることになります。あなたがうんと言わなくても判決には従わなければなりません。逆に、相手がうんと言わなくても、相手も判決には従うことになります。
4 調停
まずは裁判所でお話し合いをします。調停委員という方が2名、男性1名と女性1名とが出てきます。裁判官も調停委員会という委員会の1人なのですが、通常は調停委員2名だけで進みます。
お話し合いですから、最終的に合意の成立を目指します。調停員が交通整理してくれますが、うまくいく場合もあれば、いかない場合ももちろんあります。
うまくいけば、調停が成立し、晴れて離婚できます。
ただ、うまくいかない場合ももちろんあります。そのときには、訴訟を起こすことになります。
5 訴訟
訴えてやる!ってのがお得意のコメディアンがいましたね。
調停が成立しなければ、夫婦のまま。とりあえず婚姻費用、すなわち生活費もらえるんなら、そのままでもいいって人もいます。
でも、相手と一緒の戸籍に入っていることがどうしてもイヤだという人もいます。子どもがいなければ離婚してしまえば生活費も打ち切られますが、子どもがいれば、養育費がもらえます。婚姻費用は養育費+お母さんの生活費、養育費はこどもの養育費だけ。とりあえず、養育費がもらえればそれでいいって人もいます。とっとと離婚しちゃいましょう。
訴訟にはメリットとデメリットがあります。デメリットは、相手もこちらを目一杯攻撃してくることになるということです。一緒に生活していた頃のちょっとしたことを針小棒大に言ってきたりします。ちょいとずぼらで掃除をあまりしていなかったのを、「ほこりが5㎝も溜まってた。」とか大げさなことを言い出す人がいます。話を聞いただけで、「そんなこたぁ、ねえだろ。」と感じるのですが、もともと受け狙いで一々、話を盛る方だったようです。まともな弁護士がつけば、リアリティのない主張は抑えるのですが、そのまま書面に書いてきました。
5㎝溜まったほこりというのはぜひ見たいと思って、写真とかが出てくるのを楽しみにしてたのですが、出てきませんでした。あるわけはありません。でっち上げですから。
裸足で家を飛び出して、飛行機で実家に帰ったなんて主張もありました。もちろんデタラメですが、羽田空港のロビーをブランドで身を固めた女性が裸足でぺたぺた歩いている様子なんてのは想像するだけで笑えてきます。今だったらユーチューバーの餌食。1,243イイね!ぐらいつきますでしょうか。念のためですが、数字は適当です。
まぁ、こんなふうに相手がフライングしてくれればいいのですが、虚実織り交ぜての主張だと書面をウソをウソだと断定するのはたいへんです。
いずれにせよ、ウソや思いっきり盛った事実を主張されるだけでも不愉快極まりないことです。そんなことは調停の段階でも相手が調停委員に言っているはずですが、調停委員はトラブルを平穏に解決するのが役目、それをそのままこちらに伝えずオブラートにくるんで話してくれます。ですから、訴訟になって、初めて相手のナマの主張を知ることになります。
ウソや思いっきり盛った事実への反論もたいへんです。羽田空港のロビーを裸足でペタペタぐらいだったら、反論もむずかしくありません。でも、ウソのうまい人は肝心なところ以外は真実を主張して、肝心なところだけ、ありそうなウソを主張してきたりします。うまいウソへの反論はたいへんです。これが訴訟のデメリット。
これに対して、訴訟のメリットは、弁護士に処理を依頼している場合には、調停の時のように毎回、裁判所に行かなくてもよいことです。調停だと裁判所に本人が毎回出頭しなければならず、行けば半日は裁判所から帰れないことを覚悟しなければなりません。それが何回か続きます。でも、訴訟になれば、尋問のときと話し合いによる解決を目指すときにしか裁判所に行く必要がありません。とはいえ、私の経験では、調停が成立せずに裁判になった例で話し合いにより解決した例はありません。そんな解決ができるのであれば、訴訟にまではならず、調停で終わるでしょう。
5 離婚するための手続きに関する説明をしました。ただ、事件は千差万別、いろいろな進行があります。じっくり打合せをして、最もよい方法で進めましょう。
木村法律事務所 03-5524-1552
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