晴れて別居にこぎつけました。これまでのストレスだらけの毎日とはバイバイして、新たな生活が始まりました。
とはいえ、新たな生活も先立つものがなければ・・・とりあえず、パートの仕事を続けながら正社員の口を探すとしても、私の収入だけでは、2人の子を抱えて暮らすのはたいへん。当面は貯金でとは思うが、そんなにたくさんあるわけじゃないし・・・
バイバイしてきた人に生活費を払ってもらいましょう。
さて!気になるお値段です・・・じゃなくて金額です。
払ってもらう金額はどうやって決めればよいのでしょうか。
いろんな費用を積み上げる方法により決めるべきだと考える方。その発想はよくわかります。
積み上げるというのは、生活に必要な金額を合計してゆく方法です。家賃にいくら、食費にいくら、光熱費にいくら、子ども達の学校の費用にいくら、電話代がいくら、医療費がいくらというように積み上げて合算して、それが必要な生活費として、そこから自分の収入を引くと不足分が計算できます。それを請求するというものです。
毎日、いろいろな支払いをしていると、こんな計算方法がまず思い浮かぶのかもしれません。特に家計簿なんかつけている方は毎日、出費を使い道ごとに仕分けする習慣がついているので、よけいこんな考え方になるかもしれません。
払う方についても同じように積み上げる方がいらっしゃいます。家賃にいくら、食費にいくら・・・と積み上げて、その合計金額を給料から差し引き、これだけの余裕があるので、これを払うなんて考え方です。
でも、裁判所で生活費、法律的には婚姻費用といいます。婚姻費用を裁判所で決めるときには、このような方法にはよりません。算定表による金額によるのが原則です。
算定表というのは、ネットで検索してみてください。縦軸・横軸に収入の金額があり、一面に模様みたいなものが書いてあります。
「権利者の収入」というのが支払いを受ける方の年収、「義務者の収入」というのが支払う方の年収です。それ以外の要素は算定表にはありません。
つまり、互いの収入で婚姻費用の金額が決まります。これが原則です。
それでは、家賃が高い、男の子2人で信じられないほどよく食べる、子ども達が私立学校に通っている、子どもに持病があって医療費が高い等といった事情がある場合はどうするのでしょうか。
これらは特殊事情として、婚姻費用の計算に反映される場合もあれば、反映されない場合もあります。
たとえば、男の子2人と女の子2人では、食費がずいぶん違うようです。男の子はイナゴのように家にあるものを食いつくしたりします。もっとも、女の子2人の方の女の子が「あら、パンが食べられないのなら、お菓子を食べればいいのに。」なんて言って、高級なケーキばかり食べていれば別でしょうが・・・
食費がずいぶん違っても、少なくとも算定表については両方とも子ども2名の場合の算定表によります。男の子だから食費がめっちゃ高くても、それは婚姻費用の金額には反映されないのが原則です。
それでは子ども達が私立学校に通っているだの、医療費が高いというような特殊事情があると、それが婚姻費用の計算にどのように反映されるのでしょうか。
婚姻費用の決定はまずは裁判所外での話合い、次に調停、それで決まらなければ審判ということになります。調停も話合いですから、思いっきり主張して、相手がそれを承諾すれば、それで調停成立ということになります。
調停が成立しなければ、審判ということになります。審判は裁判官が決めるというものであり、とりあえずのルールらしきものがあります。たとえば、私立学校の学費については、相手方も私立学校に通わせることに同意している場合に、公立学校の学費との差額を収入に応じて分担するというようなものです。
そんなルールらしきものはありますが、最後は裁判官がいろいろな要素を考えて、決めます。
裁判所での婚姻費用の決め方は上記のようなものであり、最初に書いた積み上げ方式にはよりません。調停は話合いですが、ここでもまずは算定表で一応の金額を出し、それにいろいろな主張をくっつけてゆくという方法が一般的です。調停委員も算定表を見て、「互いの収入がこの金額だと、算定表によればいくらになりますね。」とかおっしゃいます。
こんな方法によるとなると、支払を受ける側が積み上げ方式でいくら足りないという計算による場合よりも少ない婚姻費用しかもらえないことがあります。
支払う方が積み上げ方式でいくら余るからこれだけ支払おうと考えていた金額よりも高くなることがあります。互いの金額に開きがありすぎると、話合いではまとまりません。
話合いが進まなくなった場合には、ご連絡ください。とりあえずの道筋をつけてさしあげられるはずです。
木村法律事務所 03-5524-1552
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